<どんな病気でしょうか?>
大腸は盲腸(もうちょう)から始まって、上行結腸(じょうこうけっちょう)、横行結腸(おうこうけっちょう)、下行結腸(かこうけっちょう)、S状結腸、直腸と続きます。がんがよくできるのは、直腸、S状結腸で、下行結腸、横行結腸、上行結腸の順に少なくなっていきます。
特有の症状はありませんが、下痢と便秘をくり返したり、腹痛、腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)などがみられます。また、便に血が混じることがあり、→痔(じ)との鑑別が重要です。大腸がんによる血便は、暗赤色もしくは黒色をしています。肉眼で血便がみられなくても、便の潜血(せんけつ)反応検査で陽性が続くときは、大腸内視鏡検査(だいちょうないしきょうけんさ)や注腸検査(ちゅうちょうけんさ)などの精密検査が必要です。
本人が気づかないまま出血が続くうちに、貧血になることもあります。
このほか、大腸にはしばしばポリープができます。良性ですが、一部は放置するとがん化する可能性があるため、内視鏡を使って切除します。
大腸がんの原因はくわしくはわかっていませんが、食生活との関係が深いと考えられています。アメリカに移住した日本人の調査から、食生活が欧米化すると大腸がんが増えることがわかりました。とくに赤身肉をたくさん食べる人は、リスクが高いとされています。これは、動物性脂肪による細胞分裂促進作用や、動物性たんぱく質の加熱によって生成される発がん物質などが関係していると考えられています。
一方、これまで食物繊維の豊富な野菜をたくさん食べると大腸がんの予防に役立つと考えられてきましたが、最近、予防効果はないとする研究結果が欧米とわが国で相次いで発表されています。大腸がんに限っては予防効果に疑問が出されていますが、食物繊維を豊富に含む野菜を食べることは、心臓病や→糖尿病のリスクを低くするとされており、健康増進には役立ちます。
大腸がんは、日本人に増加傾向の著しいがんです。毎年約6万人が発症しています。男女差はありません。60歳代がピークで70歳代、50歳代と続きます。