<どんな病気でしょうか?>
前立腺(ぜんりつせん)は男性の膀胱(ぼうこう)と尿道(にょうどう)のつなぎ目にあり、尿道と射精管(しゃせいかん)を取り囲む栗(くり)の実ほどの大きさの臓器です。前立腺がんはここに悪性腫瘍(あくせいしゅよう)ができる病気です。
初期の段階ではとくに症状はありません。進行してくると、頻尿(ひんにょう)や残尿感(ざんにょうかん)、排尿困難、会陰部(えいんぶ)の圧迫感などの症状が現れます。これらの症状は→前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)と同じものなので、両者の鑑別が大切です。ただし、いずれもお年寄りに多い病気で、両方が合併していることもあります。
血液検査でPSA(前立腺特異抗原)を調べると、かなり高い確率で前立腺がんの早期発見に役立ちます。肛門(こうもん)から指を挿入して前立腺を触診する直腸診(ちょくちょうしん)も有効です。
前立腺がんと診断された患者さんは、どの程度病気が進んでいるかを調べます。
前立腺肥大症は尿道に対しておもに内側から発生しますが、前立腺がんの場合は尿道に対して外側から発生することが多いという特徴があります。このため、前立腺がんの初期には尿道を圧迫せず、頻尿や残尿感などの症状は少し病気が進行してからでてきます。
現在までのところ、男性ホルモン、人種、食生活、生活環境、遺伝子またはウイルス感染などが関係しているのではないかと考えられています。もともと欧米に多く、わが国では少なかったがんですが、近年、わが国でも増加傾向にあることから、とくに食生活の欧米化との関係が疑われています。
また、前立腺がんの多くは、自分の体でつくられる男性ホルモンによって増殖します。このため、体内での男性ホルモンの分泌(ぶんぴつ)や作用を止めると、がん細胞の増殖を抑制することができます。
前立腺がんは、欧米では男性がん死亡者の約20パーセントを占める頻度(ひんど)の高いがんですが、わが国では約3.5パーセントとそれほどでもありません。しかし、年々、増加する傾向にあり、泌尿器科(ひにょうきか)のがんではもっとも多いがんです。
10万人あたりの男性が1年間に前立腺がんにかかる人数は、全年齢をあわせると10人程度です。45歳以下の男性ではまれですが、50歳以後は増加し、70歳代では約100人、80歳以上では200人を超えるほどになります。
このように前立腺がんはお年寄りに多いがんといえます。